Colorful

アニメーション映画。端的な感想は、まぁまぁ。

■ なんでアニメでやった?
 最大の問題点はこの映画をアニメーションでやったことにあまり意義が感じられないことだと思う。実写でもできてしまいそうだ。しかもずっと簡単に。実際に、実写の写真を加工している背景とかたくさんあると思う。実写ベースなら東京ゴッドファーザーズの方がずっと綺麗だった。もっとアニメ的な表現を入れることでのっぺりとしたストーリーに盛り上がりをつくるとかしたほうがいいとおもう。パンフレットは非常にカラフルで綺麗なのになぁ。背景と人間の大きさの比率に違和感を感じてしまったり、走ってるシーンに盛り上がりが全然なかったり。
 序盤はとても面白かった。自分はだれなのか分からない状態で小林真という体に入れられ何も分からないまま真の家族や学校と関わっていくことになる。真に入った魂がかんじるよそよそしい感じが、見ている観客にも伝わってくる。でも、それからのストーリー展開がかったるすぎる。挙動不審の少女は一体なんなのか、母親との関係はどうやって修復するのか、売春少女はどうかかわってくるのか、そして真に入った魂はなんなのか、どれもかもあやふやなままゆっくりストーリーが進んでいくのはけっこうしんどかった。しかも用意されてたオチも…

■ テーマは面白かった
 一度死んでしまったことで死んだような世界が彩りを取り戻す。世の中には平凡だけど楽しいことがたくさんある。死を見つめ直すことで人生がいきいきしてくる。自分はこんなことを感じた。イジメとか援助交際とか不倫とか平凡なテーマもあるけど、それを真正面から批判しているわけではない。

■ 鍋のシーン
 ここが一番印象的だった。真はつらく家族にあたっていたが、家族みんなが真のことを真剣に考えている。本当に涙を誘うのはこういった真剣な優しさだな。家族会議が一区切りつき、しばらくの静寂の後、がぱっと鍋の蓋が開かれる。おいしそう。こんなどこかで見た光景がとてもよかった。


 文句ばっかりだったけど、面白くないわけじゃなかった。